『裏切りのサーカス』

今回は『裏切りのサーカス』です。派手なアクションシーンはなく、非常に地味な作品です。前半は、人間関係や過去の事件、状況の把握に苦労するかもしれません。

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東西冷戦下の1980年代―
英国情報部の中枢“サーカス”のリーダーであるコントロールは
サーカス内に二重スパイの“もぐら”がいるという情報を確信し
ハンガリー工作員ジム・プリドーを送り込む。
しかしジムは敵方の銃弾に倒れ拉致され拷問を受け
結果情報漏洩へとつながってしまう。
それも含めた長年の作戦失敗からコントロールは
腹心の部下老スパイのスマイリーと共に引退に追い込まれる。
引退後コントロールは病に倒れたがスマイリーは
情報機関監視役レイコンの命令によりもぐら探し再開することとなる。
もぐら候補はサーカス内部の人物
現在サーカスを仕切るパーシー・アレリン、パーシーを陰で操るビル・ヘイドン、
付和雷同なトビー・エスタヘイス、愚直なロイ・ブランドの4人が上げられた。

もぐらは一体誰なのか。
スマイリーの捜査と共に明らかになるその意外な正体とは…
スパイ戦の構図は単純でロシアがイギリスを騙してアメリカから情報を引き出していた。それだけです。しかし、登場人物間のゲイ関係がトリックとなり、見えにくい仕組みになっています。

ゼロ・ダーク・サーティ

今回は『ゼロ・ダーク・サーティ』感想です。
本編は新米CIAの女性が特殊部隊を使ってパキスタンビン・ラディンを殺害するまでを描いている映画です。
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2003年、ビンラディンの情報を追跡するCIAイスラマバード支局員。これまでの映画なら家族なり、恋人なりが背景として登場するが、こうした背景の人物はことごとく排除されている。主役のマヤ(ジェシカ・チャステイン)に夫がいるのか恋人がいるのか不明。純粋にCIA職員の顔しか見せていない。分かっているのは高卒の新入りだということぐらい。拷問にかける男性と一緒にいる時もまるでいてもいなくても同じのような立ち居振る舞い。かと言って傍観しているわけでもなく、休憩を取ろうとする男性に逆らうようにストイックに仕事を続けようとする。チャップマン基地自爆テロ事件で同僚女性のジェシカ(ジェニファー・イーリー)を失い、自ら乗った車が銃撃されて危うく命を落としそうになる。さらにオバマ政権に変わり、拷問に関与したことで目下の仕事から距離を置いた方が良いという日和見男性上司にも惑わされない。なぜ彼女がそれだけ執念を燃やすのかさえ分からないほどだが、男性が組織内政治で思考しているのに対し、マヤにはそもそもそんなもの無意味なのだ。ある意味、ビンラディンが片思いの恋人のようにさえ思えて来る。
ただ、“組織内ステルス”マヤを一目で理解したと思えるのはパネッタCIA長官(ジェームズ・ガンドルフィーニ)。「100%確実」とはっきり言うマヤに「あんた誰?」から一気に魅せられて一緒に食事をする仲に。実在のパネッタは現国防長官で、その人の良さそうな雰囲気がよく出ている。
マヤは基本に忠実に地道に追ってビンラディンの連絡役を突き止めたこと。パソコンを駆使するわけでもなく、ただただ地道に予測し、データを突き合わせただけで、自分で派手な立ち回りを演じるわけでもない。
マヤは写真を入手した時、笑い、そして作戦が成功して戦闘部隊のネイビーシールズが帰還した時、そっと涙する。

この映画は「ビンラディンを討ち取った」ことを誇る映画というよりは、「アメリカはビンラディンという『象徴』を討ち取るしかなかった。ところが、実際に討ち取ってみて得たものは……」という、なんというか、ものすごく大きな「空虚」を描いているように感じました。
160分ある映画なんで正直途中で飽きたらどうしようなんて思いましたが、杞憂に終わりました。良い映画でした。

『ディアトロフ ・インシデント』

今回は『ディアトロフ・インシデント』です。
「これは実話である」という、オカルトファンにとって魅惑の惹句から始まるこの『ディアトロフ・インシデント』は、なるほど、見た後で実際に事件について調べずにはいられなくなる、久々に興味深い“実話系”オカルト映画である。  

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 1959年のソ連で、極寒のウラル山脈をスキーで越えようとした9人の登山グループが遭難する事件が発生。その後、遺体となって発見されたが、その不可解な状況から“ディアトロフ峠事件”と呼ばれることになる。発見された遺体のうち5体は、気温がマイナス30℃にも関わらずほぼ裸体で、そのうちいくつかは激しい外的損傷を受けていたのだ。数か月後にキャンプ地から離れた崖下で、雪中に埋もれた状態で発見された残り4体も、同じように何者かに襲われたような損傷を受けていた。驚くべきことに、中には舌が失われたものまで……。当時は、地元の原住民による他殺関与も疑われたが、周辺には登山隊の痕跡しか残っていなかった上に、犠牲者の着衣から高濃度の放射能が検出されるという不可解な証拠も発見。この他、現場付近で数か月間に渡ってオレンジ色をした謎の光源の目撃談が相次ぐなど、事件は完全に迷宮入り。政府から調査結果が公表されないままソ連は崩壊し、人々の記憶から“ディアトロフ峠事件”は風化されつつあった。そんなある日、アメリカの5人の学生が、この雪山での事件の真相を確かめようと、当時の関係者への取材を開始。やがて彼らは、“地球上で最も近づいてはならないエリア”と呼ばれるディアトロフ峠の現場へ辿り着く……。

この映画の感想はというと…派手さもなく?と思うシーンがいくつもあり、1度観ただけでは謎な部分も2度目で、あ~そーゆー事かと理解できる内容です。
撮影隊のクライマックスのヒントはアメリカの****実験です。

『幸せへのキセキ』

今回は『幸せへのキセキ』実話だそうです。
英国人、名前も同じベンジャミン・ミー、『ガーディアン』紙のコラムニストで、実際に荒れた動物園を買って、様々な苦労を重ねて、立ち直らせた、その経緯を書いた著書があり、BBCでドキュメンタリー番組として放送されたということです。
一点映画と異なる点があるようで、ある意味大きな相違点に思えますが、書く必要はないと思います。

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スズメバチ?の大群の只中に飛び込んだり、ハリケーンの中に突っ込む飛行機内でのリポートを敢行したりといった実績で、それなりに名が知られている新聞記者のベンジャミン・ミー。
彼は半年前に最愛の妻を亡くし、そのショックから未だに立ち直れずにいました。
会計士の職にある兄のダンカン・ミーからもしきりに再婚を勧められますが、ベンジャミンは「この街にいるとどうしても亡き妻のことを思い出してしまう」とあまり乗り気になれないでいました。
また、自分と同じく傷心を抱え込んでいる、妻との間に出来た子供である14歳の息子ディランと7歳の娘ロージーにも、どのように接していけば良いのか悩む日々が続いていました。
特にディランは、母親が亡くなって以降は心が荒むばかりで、父親に反抗的で学校でもたびたび問題を起こすようになるありさま。
そんなある日、ベンジャミンは自分の企画をボツにし、お情けレベルの仕事を与えて飼い殺しにしようとする会社の方針と反発し、上司に「会社を辞める」と宣言して会社を飛び出してしまいます。
さらにそれと合わせるかのように、息子ディランもまた、校則違反を重ね続けたことが災いして退学処分に。
生活基盤がボロボロになってしまったベンジャミンは、これを機会に新しい家を購入してそこへ引っ越し、新しい生活を始めることを決意するに至るのでした。
これが初仕事という新米不動産業者の案内の下、ベンジャミンとロージーの2人は候補となる家を物色しにかかるのですが、2人の希望と合致した家はなかなか見つかりません。
とうとう紹介される最後の物件となった家に2人は到着するのですが、そこは敷地面積が他の物件と比べても恐ろしくデカい家でした。
家の状況も決して悪いものではなく、2人はここを気に入りベンジャミンも家を購入する気になったのですが、新米不動産業者はそこで何故か難色を示します。
新米不動産業者にベンジャミンが説明を求めた時、突如獣の咆哮が辺りにこだまします。
そして新米不動産業者は、ここが実は動物園の一部であることをベンジャミンに話すのでした。
ローズムーア動物公園と呼ばれるその動物園は、かつてのオーナーが死んで以降は閉鎖を余儀なくされており、今では元オーナーの遺言と遺産でかろうじて維持されている状況にあるとのこと。
そして、閉鎖された動物園を維持・管理し続けることが、家を購入する際の必須条件であるとされていたのでした。
それまでの人生で動物の管理などとは全く無縁だったこともあり、ベンジャミンも最初は当然のごとく家を買うべきか否か逡巡します。
しかし、ロージーが楽しそうに動物と戯れている光景を見て、子供達のために家を購入することをベンジャミンは決断するのでした。
そして数日後、前の家を引き払って引っ越してきたベンジャミン・ミーの一家は、ローズムーア動物公園で動物達の飼育に当たっていた飼育員達と共に、動物園の再建に乗り出すこととなります。
ベンジャミンの一家を物色していたのは2月であり、役所による動物園の審査が行われるのは6月30日。
この6月30日に審査をパスすれば、7月7日に動物園をオープンさせることができるのです。
しかし動物園の再建には、当然のごとく多くの問題が立ちはだかっていたのでした……。

幸せへのキセキ」というタイトルに若干の違和感を持ちましたが、原著の訳本もこのタイトルで、「動物園を買った家族の物語」という副題がついているようです。

コメディタッチのシーンも多く、笑えるし、久しぶりに、映画を観て今までにない、満たされた気分になりました。
子供にも大人にもお勧めです。
大きな喪失や喪失感を癒す、或いは再生するには、人それぞれどういう道、方法をとるか異なると思いますが、ひさびさに自分自身も頑張ろうと思えた映画でした。

『リンカーン』

今回は『リンカーン』オススメ映画です。

リンカーン」を見るまではてっきり「奴隷解放宣言」の話だと思っていました。
実際には少し違っていて、この映画は「合衆国憲法修正第十三条」の成立を描くことにより、リンカーンの異なる一面を捉え……そして「リンカーンは黒人差別そのものは否定しなかった」という、今も彼につきまとう批判に、再考を迫るという、なかなかの意欲作になっているのです。

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1865年1月、奴隷解放運動の賛否を巡って起こった
南北戦争が4年目に入り
アメリカでは多くの若者の命が奪われていた。

そんな中、大統領に再選されたエブラハム・リンカーン
自らの夢である奴隷解放を実現するためには
憲法の改正が必要であると考え
「合衆国憲法修正第十三条」を議会で可決することを目指す。

しかし、戦争による疲弊によって
仲間内である共和党の議員のなかでも
南軍と和平し戦争を終結すべきだという声が強くなっていた。

南軍との和平は奴隷解放を諦めるに等しく
リンカーンは思い悩むが
「全ての人間は自由であるべき」
と信じ奴隷解放の意志を貫く。

党が割れて改正法案の可決が困難な状態の中
国務長官ウィリアム・スワードを介し議会工作を進め
敵対する民主党議員の切り崩しにかかる。

また家庭でも、リンカーンは問題を抱えていた。
長男のロバートが正義感から
母親であるメアリー・トッドの反対を押し切り
北軍に入隊してしまう。

すでに二人の息子を失っていた
メアリー・トッドは息子を戦場に送ることに反対し
立場上戦争を推し進める夫・リンカーンを責める。

リンカーンも息子には学生として
安全な人生を歩んでほしいと願っていたが
ただ見守るしかなかった。

そして1月25日、ついに下院議会に第十三条改正案を提出する。

自分の理想のために失われていく命の尊さ
人間の尊厳と戦争終結の狭間で
人類の歴史を変える決断がくだされる。

さすがはスピルバーグ作品です。映画全体の話の進め方自体はうまいし、役者陣の演技にも文句はありません。だけど、その「手堅さ」「堅実さ」ばかりが目立って「映画界にとっての新しい試み」とか「今の視点からの従来になかった古典の再解釈」とか「胸に迫るほどの感情的な揺さぶり」とか、そういった類いのものが、この映画からは感じられません。史実を丁寧に伝えるだけだったら、それこそ学校の歴史の課外授業の教材だったり、それこそさっきも言ったNHK大河ドラマでもできることだし。この映画は、最終的にそういう用途に落ち着きそうな、いかにも優等生的な映画でした。

『グラディエーター』

今日からはてなブログはじめました。
趣味の映画鑑賞の感想をブログします。
初日の今日は、ラッセル・クロウ主演の「グラディエーター」です。
もう既にたくさんの人が鑑賞していると思いますが、あえて感想を書き込みたい。


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帝政期ローマ。マルクス・アウレリウス皇帝(リチャード・ハリス)は、兵士たちから絶大な信頼を得ているマキシマスを時期皇帝に推挙するが、マキシマスはこの申し出を辞退し、戦いの恩賞として故郷への一時帰還の許しを申し出るのみであった。しかし自分が父の後継者に指名されるとばかり思い込んでいたアウレリウスの息子コンモドゥスホアキン・フェニックス)は、怒りに任せて父を抱擁したまま胸の中で窒息死させ、自ら次期皇帝の座に着く。姉の皇女ルッシラ(コニー・ニールセン)は彼女の息子の保身のため弟への忠誠を誓う。
コンモドゥスはマキシマスにも自分への忠誠を求めるが、マキシマスは皇帝の死に疑問を感じこれを拒否する。コンモドゥスはマキシマスを反逆罪で処刑するように命令をくだす。
処刑の寸前でマキシマスは兵士を倒して逃げ延びたが、故郷に辿り着いた時には、焼き打ちされれた家の前に吊るされた妻と子の変わり果てた姿をみる。絶望と疲労で倒れるマキシマス。
気づけば奴隷商人に捕らわれの身になるマキシマスだが、持ち前の技量で一躍剣闘士として頭角を現しはじめる。いっぽう、皇帝となったコモドゥス元老院の反対を無視し、首都ローマの巨大コロシアムで剣闘試合を開催。奴隷剣闘士としてローマへ帰還したマキシマスは、闘技場で死闘を繰り返しながら、民衆の心をつかんで行き、最後はコロシアムでマキシマスと直接対決。かくしてマキシマスはコモドゥスを倒し、自らも果てるのであった。

グラディエーターラッセル・クロウほど甲冑が似合う男はいないと思う。ひたすら主人公のマキシマスが救われないお話。彼が何をしたっていうんだ。違う意味で不遇なコモドゥスにもちょっと同情。150分越えでしたがダイナミックな映像美で楽しめました。
スペクタクルが好きな人にはたまらない作品。一方、そうでない人も、迫力のある映像と、それにマッチした音楽。緩急をつけたストーリー展開もあって、娯楽超大作にふさわしいつくりとなっているだけに、充分楽しめるはず。数々の戦闘シーンも迫力あって見応えが充分である。